(64) 半世紀前の ON TOP

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NO.64 2012.1.14



<半世紀前の ON TOP>





ポール・チェンバースはファースト・コール・ベーシストだった。
最初に声が掛かる、という事だ。
マイルスバンドのベーシストでもあった。
本作A面1曲目「イエスタデイズ」のアルコ(弓弾き)など凄い演奏だと思う。
だが正直に言う。
(54)のブライアン・ブロンバーグと比較してしまうと、あまりの違いに驚くのだ。
これが50年の差である。
ジャズは半世紀の間に、特にベースとドラムが大変進歩した。

本作はベーシストのリーダーアルバムなのだが、当時のベースは4ビートのリズムをキープするのが主な仕事であったので、リーダーとして前面に出るのが容易でない。
それゆえのアルコであったと思う。
それをバンゲルダーが恐ろしい音質で捉えるのに成功した。
本作の価値はそこにある。
いや、そこにしかない。
後はチェンバース、リズム隊に終始している。
これではもたないので、アルフレッド・ライオンはケニー・バレルを参加させた。

ケニー・バレルは確かに天才ギタリストであるのだが、何もベーシストのリーダーアルバムに出てこなくても良いのだ。
当時まだベースという楽器は、ステージの中央でスポットライトを浴び続ける術を知らなかった。
これに尽きる。
だからアルフレッド・ライオンもチェンバースをリーダーにして、トリオやデュオで一枚録ろうという発想には到底ならなかった。
チェンバースのベースはベースの中ではオン・トップだったが、まだまだバンドの中でトップを張る所までは行かなかったのだ。

トランペットやサックスやピアノはこの50年どうだったのか?
ベースとドラム程の激変はなかったのだ。
これは何故だろう。
ホーンとピアノには最初からスポットライトが当たっていた。
だから街灯に群がる夏の虫の如く、多くの才能がそこに集まり、50年前既に大方の所をやり尽くしていたのだろう。
地味なサポート役だったベースとドラムには、ホーンやピアノ程の才能は集まらなかった。
だから50年後まで有望な鉱脈が手付かずで残された。
そういう事だと思う。
2012年を迎える現在、ベースとドラムの鉱脈に残量があるのか、それは私には分からない。
ただ、10年前と比べれば明らかに変化のスピードが落ちてきたように思う。
21世紀も最初のディケイドを周った今日、ジャズは相当シビアな局面を迎えている。











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