(61) WOW

junko.jpg
NO.61 2012.1.11



<WOW>





大西順子はとても小柄だ。
あのようにゴツゴツとした力強いタッチの持ち主にはとても見えない。
そこがまた彼女の魅力だ。
曲を書くのが上手いのもいい。
会った事も、だから無論話した事もないが、きっと不思議な女性なのではないのかと想像している。
女性ピアニストに有りがちな、媚を売る雰囲気が彼女には感じられない。
それも彼女の大きな美点だと思う。

ほとんど引退状態の時、あるジャズフェスで彼女を聴いた。
ヨレヨレと言っていいようなデニムの上下で登場し、挨拶抜きで弾き始めた。
しかし、一瞬で聴衆のハートを、彼女はがっちり掴んでしまう。
盛り上がる会場。
往年のタッチは健在で、ガンガンと3曲ほど弾き、さっさと帰っていった。

大西順子、上手く力強くしかも曲がいい。
それらは全てが完璧にコントロールされたものである。
才能がある上に充分に勉強し、練習もした。
そのうえで、日本人によるジャズの限界は確かにあった。
それに気付き、彼女は一時身を引いたのではなかったか。
巷間言われる結婚問題ではないような気が私はする。

本作が世に出てもう20年近いが、私が初めて聴いたのは10年くらい前になる。
その頃、私は本格的にオーディオに手を出し始め、楽しくて仕方なかった。
なかなか思うような音が出なかったあの頃、本作は私の未熟な腕でも良く鳴る数少ないCDのひとつだった。
だからダメな音が続いた後は本作を聴き、私は少し心の平穏を得た。

だが、良い音が出ない日も、私はけしてクサらなかった。
いや、むしろ問題点が多い事を嬉しく思ってすらいた。
これが趣味というものだと言って、トライ&エラーが苦にならなかったのだ。
だから安直にオーディオ店まかせな人を不思議に思い、たとえ良い音が出ていても評価しなかった。
今はどうだろう。私はもう問題点は要らない。
今すぐ良い音で鳴ってくれればそれでいい。
人は10年も経てば、ずい分と変わるのである。












スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

バロン ド バップ

Author:バロン ド バップ
音楽がある限り

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
最新コメント
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
"Count" Basie