(45) クッキン 名盤の作り方②

クッキン
NO.45 2011.12.26



<クッキン 名盤の作り方②>





マラソン・セッションをして驚異的な作品群だとする気はない。
これはやはりやっつけ仕事だ。
ただし、質の高いやっつけ仕事なのである。
これがジャズの本質であり、衰退した原因でもあると思う。
レコード一枚作るのがあまりにも簡単なのだ。
マイルス本人がそれを一番感じていたのではないだろうか。

優秀なジャズメンにスタジオを与えれば、質の高いジャズのレコードがポンポン生まれてくる。
マラソンセッションはそれを証明したに過ぎない。
録音現場を見たことがないから、書かれたものから推察して憶測で語るしかないのだが、ジャズの録音というものは、簡単なアレンジがあり簡単な打ち合わせがあるだけで、あとは好きにやってくれというものだろう。
ブルーノートこそ録音前にリハーサルをやったというが、それはあくまでも例外であった。
それ以外のレコード会社ではまったくのぶっつけ本番であり、一日スタジオを押さえたら午前中に一枚、午後にもう一枚という具合に一日で二枚分のレコードを録音したというのである。
しかし、それは驚異でも何でもない。
まさしく、それがジャズなのだ。

こんな調子だから、ジャズのレコードというものは恐ろしく数が多い。
ジャズ喫茶の有名店はどこも大量のレコードを所有していたが、たいてい「万」の位の数であったと思う。
中には三万枚などという店が実際あり、その店は今も営業している。
札幌の「ジャマイカ」である。
ジャマイカへ行ってリクエストなどしてみると分かるが、店の人は所有するタイトルのうち、半分も把握していないのではないだろうか。
それはそうだろう、この数は既に人知の及ぶところではない。

私はジャズと名の付くレコードが全部で何枚あるものか知らない。
だが、ジャマイカにあるものが全てだとは思わない。
何故ならジャマイカのレコードはほとんどがアナログ盤で比較的古い年代のものであるし、現在も世にジャズのレコードが、CDという形態で日々増え続けているのである。

私はマイルスのした仕事に批判的な事も言いはするが、もちろん大好きであり、彼の作品をそれなりの数手元に置いている。
それを数えてみたら、60枚ほどの数だった。多いと思われるだろうか。
しかし、中山康樹氏著「マイルスを聴け!」には562枚のマイルス作品が掲載され、その本は手元の国語辞典よりぶ厚い。

ビートルズは何枚のレコードを残したか。
12枚である。
イーグルスは9枚に過ぎない。
中山本の562枚は海賊盤を含んでいるが、それにしてもこの差がジャズという音楽の本質を見事に示唆していると思う。
私はジャズ喫茶を営んでいる訳ではないので、一音楽ファンとして所有する60枚のマイルスが、少なくとも過少だとは思わない。
それらは意図して必死に集めたものではなかった。
気が付けばいつの間にか集まっていたのだ。
そして、それらのどれ一つとして内容的に質の悪いものはないが、これは演奏のクオリティの問題でも作品としての出来栄えの問題でもない。
需給バランスの問題である。
作り過ぎてはいけない、という事だ。
ジャズは自らの持つ本質(能力と言ってもいいが)によって、自分の首を絞めたのだ。











スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

バロン ド バップ

Author:バロン ド バップ
音楽がある限り

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
最新コメント
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
"Count" Basie