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(279) Phoebe Snow

phebe snow
No.279 2015.3.29



<Phoebe Snow>




子供たちにとって産みの母、つまり亡くなった最初の妻が屡々夢に現れるようになった。
それがどんな意味合いなのか、我心中分析してみるつもりも今更ない。
彼女とのことは彼方の、眩しい光の輪のなかで微かに霞んで見える。
多分多くの重要なことを私は忘れてしまった。
忘れたいことも少なくなかった。
そうしたものを恐らく人は誰も、記憶の深層に鍵をかけ意図的に封印しようとする。
だが忘れたつもりで安心していても、ある年齢になるとタガが緩んでそれが夢に出てくるのかもしれない。
大抵かなりデフォルメされたかたちで。

しかしたとえそうではあっても、鮮明に覚えていることだってたくさんある。
音楽もその一つだ。
どんな曲が好きなのか、そういった会話が普通どこかで交わされるものだろう。
彼女は「イアンとシルビア」が好きだと言った。
「ジュンとネネ」や「ヒデとロザンナ」なら聞いたことがあった。
でも私は「イアンとシルビア」を知らなかった。
それから暫く「イアンとシルビア」のレコードを私は探したが、見つけることが出来なかった。
今と違い何でもパソコンで探し出せる時代ではなかった。

それから何年かして、彼女は本作を買った。
自分自身で買った数少ないレコードの一枚だ。
サム・クック作のブルース「Good Time」や、多くのフォークシンガーが歌った「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」が収録されている。
全ての曲がとても趣味がいい。
中でもフィービーのオリジナル曲「Poetryman」は75年に全米一位になった。

独特な歌声のフィービー・スノウはギターの名手でもあった。
テディ・ウィルソン(p)ズート・シムズ(ts)チャック・イスラエル(b)らジャズメンが参加し、ディブ・メイスンがエレキ・ギターを弾いている。
非常に質の高い作品だ。
録音もすこぶる良い。
特にフィービーのギターサウンドに魅せられる。

彼女がどうして本作を買ったか、私は聞きそびれた。
だからもうそれを知ることはない。
ただ、このように良く出来たボーカル盤を自ら買ったという事は、それなりに音楽的審美眼を備えていたという事だろう。
音楽好きでもあった筈だ。
しかし彼女はあまり多くの作品を買おうとしなかった。
私達はまだ若くそれ故貧乏で、夫が買い込むレコード代がきっと精一杯だったのだろう。
そしていくらか経済的な余裕が出来た頃、彼女は育児に忙しくもう音楽どころではなくなっていたのかもしれない。
もっとレコードをたくさん残してくれたら良かったなと思う。
人生はいつもちぐはぐで、一番必要な時に必要なものに必ずしも手が届かない。
それが少し残念だ。

先日「イアンとシルビア」の事を私は突然思い出し、アマゾンでCDを注文した。
もう間もなく届くだろう。
随分遅くなってしまったけれど。


フィービー・スノウは2011年4月に脳溢血のため亡くなっている。
60歳の春だった。











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