(267) But Not For Me

from the musicals
No.267 2015.2.12



<But Not For Me>





前回お話しした「JAZZ VOCAL SHOWCASE vol.1」収録「A Nightingale Sang in Barkley Square」の元ネタがこちら。
ウィリアムス浩子さんのデビュー作だ。
全5曲のミニアルバムである。
ライナーの類一切なく、「歌を聴いて、これがわたし」と潔い。

アニタ・オデイが歌う「A Nightingale Sang in Barkley Square」を聴き、これを歌うためプロ歌手になろうと思ったというくらいの思い入れから、自己レーベルを「Barkley Square Music」とするほどの彼女である。
だからもちろん第一声はこの曲。
いいなあ、いい。
しかし今回は、あとに続く「All The Things You Are」や島裕介参加の「But Not For Me」に注目したい。

キーを下げて地声のアルトでちょっとアーシーな感じを出している。
ちらりと覗かせるちょぴり蓮っ葉な横顔にグッと来る。
妙齢女性の手練手管という感じ。
美空ひばり的というか、ダイアナ・クラール風というか。

いやもっとピッタリの表現があるが思い出せない。
とにかく明らかに「A Nightingale Sang in Barkley Square」とは芸風が異なる。
これがまた大層かっこいいのだけれど、この路線はなぜかその後封印されてしまう。
そして清楚路線だけが残された。

どうしてなんだ。
非常に惜しい気がしてならない。
メジャーデビューの際プロデューサーに強要されたというなら分からなくもないが、この場合そうではないから自己規制あるいは自己選択ということだろう。
確かに「A Nightingale Sang in Barkley Square」は素晴らしいと思う。
だが「But Not For Me」の歌いっぷりを私は捨てがたい。
よりジャズっぽいのは絶対こっちだ。
何も全部そうじゃなくていい。
適宜織り交ぜて塩梅良くやってもらえたらいいのに。

しかし彼女はどんどん清楚路線を行き、「A Wish」ではアイドル風特殊メイクを披露するに至る。
だれ?
はっきり言ってそんな感じだ。

ジャズボーカルという括りを嫌ったのだろうか。
デビュー作というのはたいてい、それまでの自分の縮図のような様相になるのが普通だ。
いままでやりたかった事を総花的に網羅したくなるものだと思う。
デビューが遅ければなおさらそうだ。
そこからどんどん離れていくのも勿論本人の勝手だが、せっかくのウィニングショットを簡単に捨てるのはどうにも惜しい気がしてならない。
何事も良く売れる方が本人にとって有り難いのは間違いないだろうけれど、本作だって局地的には随分売れたと聞いているんだが。




a wish













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