(252) 坂道のアポロン

brilliant corners
No.252 2015.1.3



<坂道のアポロン>




1956年リバーサイドに残されたセロニアス・モンクの代表作、ブリリアント・コーナーズである。
プレステッジで不遇をかこつモンクを身請けしたオリン・キープニューズは、コンテンポラリーシリーズに十数枚の録音の機会をモンクに与えた。
中でも本作は最も有名であり、最も内容の濃い一枚である。
力強く、そして不思議なジャケットだ。
デザイナーはポール・ベーコンだった。
パソコンなどというものがなかった時代、これは相当苦労したのではないか。
そんな事を言うのはたやすい。
いったいどのようにしてこれを作るのか。
私などの埒の外だこれは。

「I Surrender,Dear」を除く四曲がモンクのオリジナルだ。
素晴らしい楽曲が並ぶ。
アーニー・ヘンリー(sa)ソニー・ロリンズ(ts)オスカー・ペチフォード(b)ポール・チェンバース(b)クラーク・テリー(tp)マックス・ローチ(ds)と、面子も凄い。
モンクのピアノについては前回お話ししたのが率直な気持ちであるが、音楽家モンクをそれだけの扱いで私は終わりに出来ない。
と言うよりも正直なところ、終わりにしてはいけないのではないか、という何か良くわからないある種の義務感のようなものが、私をして時々本作をターンテーブルに載せさせる。
そしてやはり毎回思うのだ。
どうしてもっと普通に弾かなかったのかと。

やろうと思えばできたのだ。
ブルーノート5000番台に初期の音源が残っており、そちらでの彼は多少後年の片鱗を見せはするものの、もう少し普通にピアノを弾いている。
モンクは売れなかった。
後輩のウィントン・ケリーや弟子のバド・パウエルが注目される一方で、モンクが脚光を浴びることはなかった。
そしてモンクのピアノはこのスタイルに改造されたのだ。
私はこれを改悪だと思っている。
痛ましいことだ。
新しいことをやるのは構わない。
どれほど斬新であろうとも、その音楽が美しければ称賛をもって迎えよう。
私にとって音楽は、兎にも角にも美しくなければならない。
しかしどんな別嬪にだっていつか飽きるし逆に、ブスも三日たてば慣れるというから私は、モンクのピアノにも慣れる日が来るのかもしれないと思った。
だが不協和音は何度聴いても不協和音だった。
モンクはやはり作曲の人だ。
それでいい、それだけで十分に素晴らしい。

今朝娘が帰った。
彼女の住む町まで、ここから車で2時間ほどの距離だ。
二度目となる転勤までまだ一年以上あり、それは私が内心勝手に予想しているだけの事で、実際にどうなるかなんて分からない。
そればかりか、家から5時間かかる場所への転勤もある。
娘からの「無事着いたコール」を聞いたあと、私たちは2年越しとなる「番外編 ⑯ バイオハザード・リベレーションズ」にやっと決着をつける事が出来た。
実際の作業を行ったのは息子だった。
私と娘はただ金を稼ぎ、武器のレベルを上げただけだ。
とてつもなく大変だったけれど。

それから私たちは、息子の推薦するDVDを観た。
「坂道のアポロン」という、フジテレビがいつの間にか放映したアニメだ。
九州の田舎に転校した主人公がジャズに目覚めていく話だ(今のところ)。
毎回有名なジャズの曲名がタイトルとなっていく。
これが大変面白い。
こんな風にして私たちの正月が終わり、少しずつ普段の生活へ戻っていくらしい。
明日には息子も帰るという。
私は8日ぶりのテニスだ。


















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Re: また寒くなってきました

文伽さん、おはようございます。

音楽には曲を作る人と演奏する人が必要ですが、
いったいどちらが偉いのかいつまでも結論がでません。
両方出来て両方上手なら一番ですが、なかなかそうもいきません。
ポール・サイモンなどは両方凄いですが、
万一アート・ガーファンクルの歌がなかったら、
彼らがあんなに売れることはなかったでしょう。

モンクのピアノに賛否両論あるとしても、
彼が残した曲の素晴らしさに因縁をつける人は多くないと思います。
素晴らしい曲は素晴らしいままに演奏する。
それが一番のリスペクトかもしれませんね。
ただ、多少アレンジを変えないと商品になりにくい、
時が経てば経つほど。
それがちょっと難しいところです。

昨日の除雪作業で身体ガタガタです。
今朝もこれから小一時間かかりそうです。
雪をなんとかしないと、出勤出来ないんですよ。
凄い所でしょ。



また寒くなってきました

ご想像の通り、私の持っているアルバムは、
『マジカル・ミステリー』です。
バロンさんもお持ちだったのですね~。
アレンジ過剰ですか。なるほど。
まずはモンクによるモンクを聴くべきですね。
『ブリリアント・コーナーズ』、メモっておきます。
いつも色々教えてくださって、ありがとうございます!(^^)

Re: こんばんは(^^)


文伽さん、こんばんは。
そのアルバムはヴィーナスレコードの「マジカル・ミステリー」では?
「EPISTROPHY」で始まり「IN WALKED BUD」で終わる全13曲。
モンクとナゼか村上春樹に捧げられた11曲目「MAGICAL MYSTERY」のみ、マルティーノのオリジナルという構成ですね。
なんか聞いたことあるな~と棚を探したら、あったんですよ、これがこちらにも。
ほとんど聴いていませんでした。
「正直あまり良さが分からなかったのです」とおっしゃるニュアンスが私にも分かる気がします。
少しアレンジ過剰ですね。
どうも基本的にあまりジャズっぽい人たちではないようです。

ヴィーナスレコードという日本のレコード会社は「ハイパーマグナムサウンド」などと言い、音の良さを売り物にしてきました。
確かにオーディオ的に面白くもあるのですが、相当クセの強い音でもあります。
そのあたりにも文伽さんは「?」を付けられたかもしれません。
それがある時、急に良く聴こえてきた、それもわかる気がします。
毒にも薬にもならないようなふやけた音楽が多い昨今ですが、
多少取っ付き辛くはあっても一度心に焼き付いたら消えることがない音楽もたまにあります。
これもそんなアルバムの一つかもしれません。

こんばんは(^^)

セロニアス・モンク…。
私はジョン・ディ・マルティーノ・ロマンティック・ジャズ・トリオ
(長い!笑)がモンクの曲を演奏したアルバムを
何故か気まぐれに買って持っているのですが、
これまで聴いてきて、
正直あまり良さが分からなかったのですね。(^^ゞ

それが先日、深夜に本を読みながら聴いていたら、
何だかとても良かったのです…。
何でしょう。夜、という時間帯が良かったのかしら?(笑)
とても美しく聴こえました。
音楽って、つくづく不思議なものですね。
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バロン ド バップ

Author:バロン ド バップ
音楽がある限り

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