(246) So What ?

kind of blue
No.246 2014.12.19



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「モード奏法」というタームがある。
私は何度説明されても理解出来ない。
まさしく「So What?」である。
しかし、仕方ないのではないかと思っている。
これは「For Musicians Only」な用語だ。
音楽にもスポーツにもやる人と見る(聴く)人がいる。
「テニスのコンチネンタルグリップはこのように薄く握り、内転を効かせてサーブをこう打つ」そんな事言われても、やった事のない人にはピンと来ないし理解出来ない筈だ。
たとえ理解できなくても、錦織選手の試合は観ていて楽しいですよね。

何が言いたいかというと、本作はモード奏法のメソッドに沿って演奏された初めての作品である(らしい)。
私はモードを解さないが、本作を聴いて楽しいというか心打たれる時もある。
特に「So What」と「All Blues」だ。
エバンスのピアノが何故かエバンスに聴こえない。
だからか、確かにそれまでになかった音楽だという気がする。
ただ、あくまでも「気がする」のである。
そうだった、「Blue In Green」は何度聴いても旋律として記憶に残らないというか残せない。
これも私の理解力を超えた存在だ。

いい盤だとは思う。
だが中山康樹氏のように、これがジャズの最高到達点、ジャズが残したものは結局これのみ、ジャズはマイルスにオンブにダッコ、といった話をされると、そんな大袈裟な、いい盤は他にもたくさんあるし、いいミュージシャンは他にも大勢いるよと言わざるを得なくなる。
中山さんも、おそらくそうと知りながらの発言だろう。
スウィングジャーナル編集長だった氏は、児山紀芳さんあたりと比べればずっと商売上手な人だ。
実はマイルスも商売上手だったと私は思っている。
それはあの変わり身の早さを見れば分かる。
機を見るに敏。
まるで辣腕トレーダーのようであった。

これはマイルスを批判しているのではない。
そうであらばこそ、マイルスはあそこまで成り上がる事が出来たのだ。
自分というものを知っていた。
トランペッターとしては、けして一流とは言えない自分を。
そこでマイルスはミュートの多用を思いつくのである。
ロングトーン、ハイノートは出来る限り避けた。
ミュートと中音と短いフレーズ、これがトレードマークとなる。

音楽産業は楽器が上手いだけではダメだ。
あらゆる意味のアレンジとマネージメントが当たらなければ売れない。
マイルスは自分をかっこよく見せる術を知っていたのだ。

日本人はこれが下手だ。
自己演出が出来ない。
やる前に照れてしまうばかりだ。
テレビの街頭インタビューなどを見ると、彼我の差がはっきりする。
日本の皆さんはどこかぎこちなく、居心地悪そうだ。
対する欧米の方々、堂々とカメラ目線で持論を述べる。
こんな風に人前で振る舞えたらなあ。
そのように思って見ていた事もあった。
だが今、そんな事が苦手な同胞を私は愛する。










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Re: 再びこんばんは(^^)

なんのかんのとイチャモン付けつつも、
マイルス好きなんですよ。
カリスマとは何か、
世界一それが分かり易いのがマイルスでしたね。

昔バイトしてたジャズ喫茶の女性経営者が、
マイルスの日本妻だとか噂されてたけど、
あれ、本当だったのだろうか。

実際店に来たこともあったのですが。
そりゃー大層驚きました。

再びこんばんは(^^)

バロンさんのご推察通り、
私が持っているのは26曲入り、演奏時間74分の完全版でした。
完全版は1988年のCD化に伴って、リリースされたみたいですね。
さっそく完全版買わなきゃ、と意気込んでるバロンさん、
マイルス好きなんですね~。

逆に私は今回バロンさんのコメントを読んで、
映画『シエスタ』の映画音楽を演奏していたのが、
マイルスであったと再発見いたしました。
私も映画館までこの映画観に行きましたよ。
若い頃のジョディ・フォスターは好きだったので。
『シエスタ』、もう一度ビデオで見てみようかしら?

Re: こんばんは(^^)

文伽さん、おはようございます。

私もあらためて「死刑台のエレベーター」と「イン・ア・サイレント・ウェイ」を聴いているところです。
そしておかげで個人的新発見をしました。
おそらく20年以上ぶりに聴いた、手元にある「死刑台のエレベーター」の方は廉価版レコード(定価1300円!)なのですが、10曲しか入っていない全部で30分程度の盤です。
私はこれで「死刑台のエレベーター」を聴いた気になっていました。
ところがどうも違うようです。
山中康樹氏の「マイルスを聴け!」によれば、完全版CDというのがあり、26曲入っています。
文伽さんがお持ちの盤はこれではないでしょうか?
これは絶対に購入しなければと思っているところです。

マイルスが関係した映画のサウンドトラックといえば、「シエスタ」もありますね。
映画はなんだかピンときませんでしたが、音楽はマーカス・ミラー色が強いものの非常に優れたものでした。






こんばんは(^^)

マイルス・デイヴィスといえば、
私はあの映画『死刑台のエレベーター』のサントラを持っています。
全編を通して流れるあのトランペットの音色が、
映画の雰囲気にとてもマッチしていて、何ともいえずカッコ良かったですね…。

そういえば昔、マイルスファンの人から「これ絶対いいから聴いてみて!」と
『イン・ア・サイレント・ウェイ』というアルバムを貰ったのを思い出しました。
…こちらは当時の私には難解で、良さが余り分からなかったのですが、
今ならどう聴こえるかしら?
また改めて聴いてみようかな。(^^ゞ
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