(244) Run Away

dark beauty 
No.244 2014.12.15



<Run Away>




これも毎日のようにリクエストがきた盤だ。
ジャズのレコードというものは、何度かお話しした通り膨大な点数あり、名盤といわれるものが中にある。
どれが名盤か、なんて事は聴く人が勝手に決めればいい事だ。
だから私は私で、勝手に私的名盤について述べるだけなのだが、実際のところ一般にこの名盤と称するもの、どうも二種類あるように思われる。
それは評論家が選び本に載っている名盤と、ジャズ喫茶の名盤である。
評論家という職業は権威を拠り所とする。
つまりかっこつける、というか難解をもってよしとするところがどうしてもある。
分かり易いものに解説などいらないし、であれば商売のネタにもならないからだ。

ジャズの名盤紹介本がたいていロクなものではない理由はこうした事情による。
特に初心者は気を付けたい。
マックス・ローチ「We Insist!」、アルバート・アイラー「Spiritual Unity」、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ「苦悩の人々」、アンドリュー・ヒル「Black Fire」これらを初心者の私は、某社「モダン・ジャズ決定版」本によって掴まされた。
本当にこれらが好きなら、一人で聴いていればよいのだ。
どうぞどうぞ。
だが、人には薦めるな。
といった類のものだ。

もう一つの「ジャズ喫茶の名盤」とは、実際にジャズ喫茶でよくかかった盤だ。
「名盤」というのに文句があるなら、「人気盤」でいい。
こちらの特徴は、聴けば一生忘れられない旋律をもった曲が必ず一曲は含まれる、ということだと思う。
デクスター・ゴードン「チーズ・ケーキ/Go」、ビル・エバンス「ナーディス/At The Montreux(お城のエバンス)」、デューク・ジョーダン「フライト・トゥ・ジョーダン」、鈴木 勲「Play Fiddle Play/Blue City」等々いくらでもあり、ケルンコンサートなどは長尺のA面一曲全部がそうだったという事だろう。
本作、ケニー・ドリュー「Dark Beauty」もそんな一枚だった。
1961年に欧州へ落ちのびたケニー・ドリューが、74年デンマークのステイプル・チェイスへ吹き込んだ盤である。

アメリカの黒人ジャズメンは既に50年代の始めから食い詰めており、渡欧する者後をたたなかった。
バド・パウエル、スタン・ゲッツ(白人だったネ・・・)、デクスター・ゴードン、アート・ファーマー、皆そうだ。
アメリカはむしろ終始一貫黒人ジャズメンに冷淡だった、と言う方が正しく早い。
ケニー・ドリューもその一人であった訳だ。
知らぬ者とてなき有名ピアニストであるから、「ケニー」といきたいところだが、ケニー・ドーハム(tp)もいればケニー・バレル(g)、ケニー・クラーク(ds)もいるため、フルネームでお呼びしなければならない。

本作の名を後世にまで知らしめたのはタイトル曲ではなく、「Run Away」の方であった。
ステイプル・チェイスは北欧のレコード会社だから、やっぱりそんな音がする。
つまり、ブルーノートのような脂っこく黒々した音ではない。
どちらかと言えば淡白で冷静な音作りだ。
ところが本作に限って、偶然だろうかオーディオ的に非常に面白い音に仕上げられた。
その秘密はドラムのチューニングと採音にあった。
更にはニールス・ペデルセンのベースも、何と言うか非常にクリアに捉えられている。
この二つが「Run Away」を人気曲に、「Dark Beauty」を人気盤にしたのである。
聴いてみてください。


話変わるが実は先週、妻の車がやって来る予定であった。
その二日ほど前に担当者から連絡有り、納車を延期して欲しいと言う。
何かあったのですか?
何かあったに決まっている。
お父さんが亡くなったのだと、彼は相当テンパった様子でそう言った。
私の娘と同世代の青年だ。
これは車なんかに構っている場合ではなかろう。
私は了承し、車の件は後日落ち着いてからお話ししましょうと言った。
ところでお父さん、おいくつだったんですか?
私は恐る恐る尋ねてみた。
私より三つ上とのことだった。












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