(241) STUFF

stuff 1
No.241 2014.12.9



<STUFF>




FM大阪の帯番組「ビート・オン・プラザ」で本作を聴いた。
この番組、発売直前の新譜をほぼまるごとオンエアするという無茶なコンセプトで、音楽好きな貧乏人の味方だった。
90分のカセットテープが大学の生協などで確か500円くらいで売られていて、これを買いビート・オン・プラザをエアチェックすればLPレコード二枚分を軽く録音出来た。
レコードの十分の一の費用だ。
もちろん10倍する本物のレコードが欲しい。
それは確かだが、買える枚数は限られていた。

本作を録音したカセットテープ(マクセルUD C90 B面にハービー・ハンコック "SECRETS" を収録)が今も手元にある。
番組DJの田中正美さんが、やや興奮気味に紹介する様がおかしい。
「ハ~イ、田中正美です。
ワーナーブラザーズ・レコードからデビューを飾ったスタッフをご紹介しましょう。
S・T・U・F・Fと綴りますけれども、とにかく凄いメンバーです。
パーソネルはベース(ここで声が裏返る)がゴードン・エドワーズ、
キーボードがリチャード・ティー、
ギターがコーネル・デュプリー、
ドラムスがスティーブン・ガッド、
ギターがエリック・ゲイル、
そしてドラムスがクリストファー・パーカー、
といった六人編成、
今年のモントルー・ジャズフェスティバルで絶賛を博しまして・・・・」
で、本作を頭からかけていく。

「スタッフ」は全員が手練れのスタジオミュージシャンであった。
前年アメリカで発売されたポップス系レコードの50%に、メンバーの誰かが関わったといわれ、事実グラミーを取ったポール・サイモンの「Still Crazy After All These Years」にも彼らの半数以上が参加していた。
しかし、いくら腕達者でも所詮裏方であり、表舞台に映えるようなスター性などそもそもない。
それが突然売れたのだから世の中わからないものだ。
ただしいくら売れたといっても、裏方がいきなりスターらしくなるわけもなく、終始「センター」不在のグループであったことも事実だった。

メンバー構成を見れば分かるが、ホーン無しの6人編成だ。
要するにリズムセクションがふた組いると思えばいいだろう。
不思議な構成であるし、更にはスタジオミュージシャンの性というか、誰一人派手な振る舞いをする事なく、正確無比な演奏をひた向きに展開する。
趣味が良いとも言え、少しジミだとも言える。
個人的な思いを除けば、率直に言ってドンと太鼓判というわけにはいかないかもしれない。
だが一度「Foots」だけは聴いて頂きたいのだ。
メンバー全員の共作とされるこの曲、エリック・ゲイルのイントロが始まった瞬間、1976年6月21日のあの夜に私は軽々と引き戻される。
音楽とはそうしたものだろう。
40年後の今この曲をご存じないという方が、バイアスのかからない真っ新な耳でこれを聴けば、どんな感想をお持ちになるのだろうか。
私はそれを聞いてみたい気がする。

後年スティーブ・ガッドは、マンハッタン・ジャズ・クインテットのオリジナル・メンバーとなる。
本作の成功が忘れられなかったものか、人は同じような歩みを繰り返すものか、そこの所はわからない。
ただ、今となっては、そちらの方がより有名なのかもしれない。













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