(240) 例外ドラムソロ

spiral circle
No.240 2014.12.6



<例外ドラムソロ>




ヘルゲ・リエン・トリオの「スパイラル・サークル」であるが、今回はドラムの話がしたい。
本作は東京のディスク・ユニオンが2002年に出したもので、今はなきスウィングジャーナルのゴールドディスクに選定されている。
この選定も後半はいい加減なものだった。
ほぼタイアップというか、レコード会社とのなれ合いというか、ステマに近いものだったと思う。
スウィングジャーナルも背に腹は代えられなかっただろうが、読者だってそうそうバカではない。
次第に神通力を失い廃刊に至ったのも無理はなかった。

ただ、全てが胡散臭いかと言えばそうではなく、スウィングジャーナルにだって当然矜持があった。
それがリアリズムによる妥協により少数となっただけだ。
本作の受賞などに、そんな数少ない同誌の良心が顕れていた。

ドラムの話をするのであった。
クヌート・オーレフィアールというのがこのトリオのドラマーだ。
ヘルゲ・リエン(p)がノルウェー人なので、オーレフィアールさんもそうかもしれないが分からない。
分からないし、最近猛烈に速度を上げ低下しつつある私の記憶力で、クヌート・オーレフィアールの名を覚えるというのは最早極めて困難である。

だいたい短いから何とか覚えたヘルゲ・リエンだって、相当へんてこな名前だろう。
実際家人などはエリンだと思い込んでいたようだ。
確かに離縁よりエリンの方がまだマシかもな。
愛しのエリン、エリン・マイラブ・ソースィー・・・か。
まあいいだろう、だから諦めつつ次へ進もう。
人間ある所まで来たら、諦めるというのも大事なことだと最近思うようになった。

本作のドラムを是非聴いておくべきだ。
ジャズドラムのイメージが覆る可能性がある。
7曲目の「テイク・ファイブ」だけでもいい。
曲名を知らずに聴きだせば、何事が起きているのかと思う。

私はCDを開封する時にリストを確認しない。
そして一曲目から聴きだす。
はっきり言って本作には難解なところもなくはない。
少々とんがってもいる。
それが7曲目まで来て、激しいドラムソロが始まる。
こんなドラムソロを聴いた事がなかった。
なんじゃこれは!と松田優作的心の叫びのあと、地の底から響いて来るのだ。
あのメロディが。

なんという構成力であろう。
人を感動させる、という方向で計算され尽くしている。
また、録音が素晴らしい。
こんなドラムソロなら大歓迎だ。


だらだらとだいぶ長引いてきたが、例外的ドラムソロについて今暫くお付き合い願いたい。
一昨日ライブを聴いた。
何度かテニスをご一緒させて頂いた方が、友人の店でライブを演ったのである。
誘われて行ったが、あまり期待していなかった。
これは失礼だった。
この方プロのミュージシャン(ds)だったのである。
石橋正彦さんとおっしゃる。
プロだから名前を出してもいいだろう。

私より8歳年上で、はっきり言えば小柄な初老のオヤジである。
テニスの腕前こそ達者なものだが、ドラマーという体格ではない。
人は見かけによらないと言うが本当だ。
いやはやもの凄いドラマーだった。
再現性のない話で恐縮だが、あの歳であのドラムはまいったと言う他ない。
またピアニストがそれを知っているから、どんどんソロを促す。
石橋さん、苦笑いで受けるのだが、まあなんと言うか当然ながら一糸乱れず背筋がピンとしている。
いつもニコニコ温厚な感じの石橋さん、この夜は底知れない凄味すら漂わせた。
あんなキレのいいドラムを目の前で聴いた(見た)のは初めてだ。
テニスもドラムも力だけではないのだな。

ライブ後、テニスのショットにキレがある秘密がわかりました、と言ったら石橋さん、また穏やかな表情に戻り「イヤー・・・」と照れておられた。



bar mino


長くなりついでにもう一つ。
「寺島 Jazz Bar 2014 」が届いた。
先日発売前から、どんどん買いましょう的発言を私はしたのである。
到着後わかった。
実は今年のJazz Bar、全曲ピアノトリオであった。
お買いになる際はその点ご承知おき下さいますよう。










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