(238) SPIKE ROBINSON

spike robinson
No.238 2014.12.2



<SPIKE ROBINSON>




スパイク・ロビンソンのワンホーンもの、ハリー・ウォーレン集だ。
廃盤屋のオヤジが70年代、80年代の新品を本国で大量に買い付けてきた事があって、私はスパイク・ロビンソンを知らなかったが、何か感じるところがありこれを買った。
1981年の録音で、店主これをオリジナル盤だと言った。
81年のオリジナル・・・ちょっと違和感があった。
だが、オリジナルという響きに私は滅法弱い。
商売上手なオヤジだった。
この店は今も健在である。
アナログ盤のみの扱いなのに、たいしたものだと思う。

LPレコードも最後期に入っていたから、そのメソッド既に確立され録音極めて良好だ。
ただ、本作を今入手するのは少し大変かもしれない。
CD化されているかどうかもわからない。
多分日本盤はないだろう。
ビクター・フェルドマン(p)、レイ・ブラウン(b)の参加で、引き締まった高レベルのセッションとなった。
しかし、ドラマー(JOHN GUERIN)を失礼ながら存じ上げない。
セッション・ドラマーかもしれない。
今風のドラムを叩く、というかあまりコテコテにジャズっぽいドラムではない。
これが意外にスパイク・ロビンソンと合っている。
スパイク・ロビンソン自身がゴリゴリ吹くタイプではなく、小粋にまとめてくる趣味のいいテナーマンだからだ。
ジャケットの表情でなんとなく音色が思い浮かばないだろうか。
昔サックスを習っていた先生が出した音に少し似ている。
生のサックスの音って、録音されてスピーカーから出る音よりずっと柔らかいものだ。
全然違うと言う方が早い。
なるほど、「木管楽器」というのはそういう事か。
先生のテナーを聴き、妙に合点がいったものだった。

それから10年以上の時を経て、現在のスピーカーをあつらえた時、私はその事をすっかり忘れてオーディオ屋に薦められるまま、巨大で高価な木製ホーンを買い込んだ。
これがどうにも思うように鳴らなかった。
友人・知人に「柔らかい、優しい音だね」と言われて私は傷ついた。
そんな音を少しも望んでなどいなかったからだ。
それとなくその事をオーディオ屋に言ったら、彼はこう返答した。
「木製ホーンですからね、柔らかい音ですよ」
ガーン・・・私の頭の中でドラが響き渡ったのは言うまでもない。
九割方ジャズを聴いている、ジャズをいい音で聴きたいのだと、私は再三彼にその事を伝えていたのに、今更それはひどい。
「ええ、わかりました。頑張っていい音出しましょう」
あなたもそのように仰ったではありませんか。
そういえばこの御仁が聴いておられるのは、九割方クラシックであるらしかった。
結局のところ、「いい音」とは自分が好きな音であり、自分が聴きたい音であるという事にその時気付いたが遅かった。
それからの苦労は蒸し返したくない。
とにかく何とかしなければとあれやこれやの挙句、最近では漸く金物感を表現出来るレベルになってきたようだ。
それはともかく、スパイク・ロビンソンの生音も、きっととても優しい響きをしていたと思う。
これらの相乗効果がコンポーザー、ハリー・ウォーレンの作風と巧くかみ合って、本作を「名盤」に仕上げた。
あくまで私的名盤であるのだが。

本作から一曲選ぶとすれば、私は間違いなくB面3曲目の「Lulu's Back In Town」を推す。
時々私的コンピ盤の話をするが、「Bestjazz Horn Side」シリーズと称するものがあり、現在第九集まで来ている。
このシリーズの第一集、栄えある(?)第一曲目に選ばれたのがこの曲だった。

スパイク・ロビンソンは9.11の翌月亡くなっている。
享年71歳だった。









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