(226) 藍調(台北ブルーノート)

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No.226 2014.11.8



<藍調(台北ブルーノート)>




台北ブルーノートへ行った。
およそ40年ぶりに訪ねた台北の街角は、まるで別世界の都市に生まれ変わっている一方で、当時と変わらぬ風情も到る所に残していた。
当然の話に過ぎない。
近年人工的に造られたのでない限り、あらゆる街の横顔はいつもそういったものだろう。

一方で私が今回特に危惧していた事がある。
それは例のあの島をめぐる、我が国と台湾の領有権についての主張対立である。
この点について一日本国民として私にも当然言いたい事がある。
だがそれはよそう。
浅はかな愚考でも簡単に公言出来る時代である。
だからこそ、自制が不要だ。
これは私などの出る幕ではない。

台湾は親日的であると伝えられていた。
ところが、領土問題の発生で一部そうとばかりも言っておれない雰囲気が醸成されているとの話を私も聞いていた。
ところで40年前に訪れた時の印象がどうだったかと言うなら、殊更親日的であったとの記憶を私は抱いていない。
にも関わらず、その後この国(つまり中国の一部ではない、レッキとした独立国であると敢えて言わせて頂きたい)が親日国家であるとの話を、私は幾度となく耳にしていた。
いったいどっちだ。

40年前と変わっていない。
それが私の結論だ。
親切な人がいる一方で、日本の観光客を相手に商売している人達は、あの手この手で売り上げを極大化しようとした。
考えてみれば、それは日本国内のあらゆる観光地に見られる現象と何ら変わるところがない。
つまりそういうことだ。
親日とは日本国内並みの待遇を受けられるということであり、むしろそれ以上である訳もなく、あったら逆に不気味であろう。
その範囲内で、台湾の人たちはとても親日的である。

今回の台北ブルーノート訪問は、同行してくれた友人夫婦の案内で達成させて頂いた。
この頼もしい友人には、この場で改めてお礼を申し上げておきたい。
ありがとうございます、大変お世話になりました。
奥様が地図を用意され、夫君は方位磁石を持参する(!)という万全の準備があればこそ、我々は数々の目的地へ迅速且的確に到達できた。
台北ブルーノートとて無論のこと、迷う事無く行き着く事が出来た。

この店は前回私が初めての外国旅行で台北に来た際、既に存在していた可能性がある。
その時は訪問する機会もなく、正直なところ存在すら知らなかったと思う。
今回私はよくやる自作「コンピレーションCD」を店に持参した。
わざわざそのために製作した訳では更々なく、ホテルの部屋で聴こうと思ってスーツケースにしのばせて来たものだ。
その名も「BLUE NOTE SIDE Ⅲ」。
Ⅲがある以上普通ⅠもⅡもある。
実際その通りで手近にあったⅢを持って来ただけである。
それをわざわざこの日のために日本から持ってきました、といったニュアンスをもって私は店主にこれを献上した。
店主はきっと大人(たいじん)なのだろう、喜んでくれ早速これをかけてくれた。
ラインナップは次のようなものだ。


1. Blues-Blues-Blues (フレディ・レッド/4045)
2. Sudwest Funk (ドナルド・バード/4007)
3. Gypsy Blue (フレディ・ハバード/4040)
4. Not Guilty (クルフォード・ジョーダン/1565)
5. Cool Green (ジャッキー・マクリーン/4067)
6. Street Singer (ティナ・ブルックス/4052)
7. Desert Moonlight (リー・モーガン/4199)
8. Woud'n You (ザ・スリー・サウンズ/1600)
9. Beauteus (ポール・チェンバース/1564)
10. Flight To Jordan (デューク・ジョーダン/4046)
 

特に6曲目「 Street Singer 」を収録した「ティナ・ブルックス BACK TO THE TRACKS/4052」は、タイトル・レコード番号・ジャケットまで決まりながら、約40年オクラ入りしていたという、不思議なしかし有りがちなサイドストーリーを持った作品で、今回40年後の再訪には偶然ピッタリの選曲となっている。
白状すればこちらへ来てみれば部屋に再生装置がなく、ならば「台北ブルーノート」への手土産にしてしまおうという、例によって結構適当な話に過ぎないものだったのだ。
当然マスターなら耳タコなラインナップであったろうが、一応は喜んで頂いた。
こういうのが草の根の親善なのだ。
よかった、よかった。
(またまた、まことにいい加減な自画自賛である)。


台北に滞在するあいだ、特に感じたのはこの街の豊かさと若さだった。
現在世界第二の外貨準備高であるという。
更にはっきりと彼我の差を感じる。
街行く人が若い。
地下鉄に乗った時、今この車両で私が最高齢ではないかと何度も思った。
悪いがはっきり言って小国であるから、この先どうなるか分からないところも確かにある。
だが少なくともあの小島を奪い合う戦闘行為が台湾と日本のあいだには起きないだろうと、私はそのように思った。
きっとあの時同じ車両に乗り合わせた彼らに、そんな意識は薄いのではあるまいか。
つまり武力衝突を辞さず、アレを自国領にしようという世論は大きくない。

もちろんどの国との間にもそんな事があってはならない。
万一不測の事態が起きた時、命を落とすのは主に若者である筈だ。
その紛争というのは極めつきの国際的政治経済問題である。
だが今一度シンプルに考えた時、あのような所詮無人島に過ぎない小島の問題で武力衝突を起こし、若者の未来を文字通り断つ事が、銃後の安全地帯にいる老人の思惑で許される筈がないと私は思う。
万人が承知している通り、全ての人生は一度限りのものだ。
ならば若者の命を粗末にすることはなかろう。
どうしてもやると言うなら、物陰で勇ましい事を言うのでなく、もう惜し気もない筈の老い先短い老体を差し出すが良いのだ。












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carmencさん、おはようございます

なるほど、そうでしたか。
なにしろ使い方がよくわからないまま、適当にやってる感じなもので。
時にはせっかく書いたものが全部どっか行った!とか。
carmencさんのページはデザイン構成が美しいですね。
私なんか到底真似できませんよ。

No title

ヤフーでは名前明記されますので分かりますが、FC2は分かりませんね。但し拍手履歴時間と訪問者履歴で大体予想で分かる事があります。

carmencさん、おはようございます

「ブルーノート」はあちこちにあります。
京都にもありますし、青森にもありますが、
それらは勝手に名乗っているだけで、
「ブルーノートレコード」とは無関係です。
「ブルーノート東京」とも。

ところで基本的なお話しで恐縮ですが、
ブログというものは、
誰が「拍手」したかわかるものなのでしょうか?

No title

台湾にお出かけだったんですね。
ブルーノートがあるんですね!
良い旅をされたようで何よりです。
あ、またナイスを沢山ありがとうございます。
過去の記事に何を書いてるのか忘れてしまっていて
なんだかお恥ずかしい…
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