番外編 ㉛ プレーヤー

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<番外編 ㉛ プレーヤー>




前にお話ししたスコットランドのリン製レコードプレーヤーである。
わざわざSMEのアームをつけた。
後で聞いた話では、一関の「ベイシー」が同じ組み合わせで使っているらしい。
シートが静電気でディスクにくっついて来るので、カーボン製の社外品に替えている。

スコットランド独立騒ぎの際、私は否定的見解を持った。
分離独立によって国力が低下する一方、特段のメリットがないと見た。
だが、実際にはイングランドとスコットランドはまるで違う国らしい。
共通の言語を使い、多少の方言がある程度だと思っていたが、それも全然違うという。
スコットランドの庶民が使う言葉は、スコットランド語やゲール語であって、所謂英語ではない。
彼らは自分たちがイギリス人だと思っていないようなのだ。
私はそれでも、スコットランドが独立するのはデメリットの方が大きいと思う。
だが、あれだけ多くのスコットランド人が独立を望む以上、この問題はいつまた再燃するか分からないし、次回の結果がどうなるかもまた分からない。

そんなスコットランドが造るリンのプレーヤーLP12。
実物は非常にコンパクトだ。
多分中身もシンプルで、はっきり言えばそんなにお金が掛かっていない。
だが私はこれが気に入っている。
もちろん「ベイシー」と同じ機種だからではない。
物量投入したゴツいプレーヤーならいくらでもあるが、一見むしろ頼りないくらいの、この何気無さを愛する。
これもおそらくは人生最後のプレーヤーだろう。

お前は何かと言えば「人生最後」だな、と言われそうだ。
これが最後かもしれないというある種の覚悟を持って事に当たるのは、大事な事だと私は思うようになった。
それはいい歳になったからだ。
もちろん、それはそうだ。
二十歳の時にそんな事を考えた事などない。
しかしながら、二十歳の若者の人生が必ず残り60年以上あるとは無論限るまい。
それは私の余生があと20年保証されていない事と何ら変わりがない。
事実私の最初の妻は、平均寿命を半分も全うしなかった。
人生人それぞれであると、その極当たり前の事に実感がやっと追いついて来た。

人の死亡率は100%だ。
それが今日かもしれないし、もう少し先かもしれない、ただそれだけの話だ。
そのことを人は知っている。
多分犬は知らない。
これが最後かもしれない、そういう覚悟を持って事に臨むのは悪くない。
それは死に怯えて生きるのと少し違うと思う。
最後かもしれないなら、味わい尽くしてやろうというのが私の方針だ。







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