(220) もうひとつのアランフェス

of spain
No.220 2014.10.24



<もうひとつのアランフェス>




1959年も押し迫った頃、ギル・エバンスは自分のオーケストラを従え、スタジオに通い続けていた。
自ら譜面を書いた「アランフェス協奏曲」のリハーサルのためである。
六日目となり、漸く主役が姿を見せた。
それからマイルスとギル・エバンス・オーケストラは、9日間かけてこの曲を完成させた。
今聴くとどうだろう。
冗長で散漫な印象を持つのは私だけだろうか。
これはギルとマイルスによる実験盤だ。
マイルスは直前の「カインド・オブ・ブルー」でモードを掴みかけていた。
それをもっと前へ進めるために、スパニッシュ・モードの手を借りようとした。
だが、どうも大成功だったとは言い難く、微妙な生煮え感が残った。

本作を聴くならB面。
「THE PAN PIPER」「SEATA」「SOLEA」と続く流れに作品としてまとまりがある。
当初の彼らの意図も分かりやすい。
マイルスのアランフェスは忘れた方がいい。

ところで後日ギルが語るところによれば、ギルはマイルスのために編曲の仕事をいくつかしたが、代金を払ってもらったことがあまりなかったらしい。
ジャズメンのいい加減さなら、改めて言い出してもきりがない。
「カインド・オブ・ブルー」収録の「ブルー・イン・グリーン」は本当はエバンス(こちらはビル)の曲らしい。
だが何故かマイルス作ということになっている。
逆にマイルス作の「ナーディス」、本人は一度も演っていないこの曲を気に入ったエバンスが十八番にした。
なんらかの支払いは行われただろうか。
どうもそんな風には思えない。
もしかして「ブルー・イン・グリーン」とのバーターか。
いや、そうではなく、この曲の作者もエバンスだ、という説もある。
何れにせよ皆死んでおり、著作権すら消滅している。
死人に口なし。
音楽だけがこうして残された。













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