(209) 卍

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No.209 2014.10.8



<卍>




ブルーノート4263番、大ヒット作ルー・ドナルドソン「アリゲーター・ブーガールー」である。
ルードナは1500番台に5枚、4000番台に9枚のアルバムを残し、ブルーノートからアーゴへ移籍した。
1963年のことである。

一説ではルードナ、アルフレッド・ライオンを「ジャズのわからないドイツ野郎」と、あまり好ましく思っていなかったと言われている。
事実1967年にライオンが引退すると、即座にルードナはブルーノートに復帰する。
アーゴの水が合わず、たまたまライオンの引退とルードナの復帰が重なったせいで、そんな事が真しやかに言い伝えられた可能性があると私は思っている。
いずれにせよ古巣に戻り、「満を持して」(私はこれをマンジと略し、卍とも書く)リリースしたのが本作だ。
というのもルードナは復帰後即別のレコーディングをしていたのだ。
4254番「ラッシュライフ」である。
こちらはフレディ・ハバード(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ペッパー・アダムス(brs)、マッコイ・タイナー(p)、ロン・カーター(b)ら豪華メンバーが参加し、デューク・ピアソンがアレンジを手掛けるという力の入りようであった。
しかし何故か4254番は発売されず、代わりにルードナは3か月後に本作を録音する。

まさに卍盤であった4263番は大ヒットした。
ビルボード誌のホット100入りしたのである。
ジャズのレコードとして、これがどれ程画期的な事かと言えば、ブルーノートであればその前はなんと3年前までさかのぼる。
1964年の4157番リー・モーガン「サイド・ワインダー」以来の事なのだ。
こんな事だからジャズのレーベルがもたないのも無理はない。

本作には若き日のジョージ・ベンソン(g)、ロニー・スミス(org)、メルビン・ラスティ(tp)、レオ・モリス(ds)らが参加している。
トランペットとドラムの二人は知らない。
ロニー・スミスはキーボード奏者のロニー・リストン・スミスとは別人だ。
要するに私にとって殆ど無名と言って良いメンバーで録音したのが本作ということになる。
それが有名ミュージシャンで固めた4254番を蹴飛ばして出てきたのだ。
そして見事大ヒットしたのだから分からないものだ、というか大したものだ。

4254番との違いは何か。
卍番はファンキーなR&B調で固めている。
4254番はバラード集である。
そういう時代だったのか。
わからない。
ルードナであったのかプロデューサーであったのかそれも不明だが、しかし、機を見るに敏なお方が居たのは間違いのないところである。
「ブーガールー」というのはキューバ由来のR&Bの事であるらしい。
ルードナ自身はその意味を知らず、レコード会社がつけたタイトルだと語っている。

これを今聴くとどうだろう。
私はタイトル曲の「アリゲーター・ブーガールー」がヒットした理由がわからない。
ヒット曲とは結局そうしたものなのかもしれない。
しかし特にA面2曲目の「ワン・シリンダー」、これにはついていけない。
ルードナ自身「単調にならないように苦労した」と言っているが、単調だ。
延々とワンコードで続くこの曲をやる必要があったのか。
ルードナのオリジナルですらない。
私が本作で一番好きなのは結局、ラストの「I Want a Little Girl」である。
サッチモやエリック・クラプトンがこれを演っている。

本作ジャケットの女性は皆さんご存知だろう。
写真家ウィリアム・クラクストン夫人のスーパーモデル、ペギー・モフィットだ。
ただし撮ったのはリード・マイルスである。

ルードナは本作の後、4000番台に6枚録音し、1500番台・4000番台合わせて21枚のリーダー作をブルーノートに残した。
これはジミー・スミスの27枚、アート・ブレイキーの24枚に続く記録である。

4254番も後日、日本のキングレコードによって発掘され、日米で無事発売されて良かった。









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