(207) MAGNIFICENT

サドジョン
No.207 2014.10.6



<MAGNIFICENT>




ブルーノート1527番、「ハトのサドジョン」である。
サド・ジョーンズはジョーンズ三兄弟の真ん中(兄ハンク(p)、弟エルビン(ds))であるが、他に7人の兄弟姉妹がいたというから凄い。
10人の子を生んだ母親は歌手であり、彼らは典型的な音楽一家に育ったようだ。
典型的な音楽一家ってどんな一家だ、と普通の一家に育った者は思う。
親兄弟全員が音楽家という家庭が、世間には結構あるものなのだ。
そして有名なジャズメンの兄弟もまた有名ジャズメンという例、これも非常に多い。
ヒース三兄弟(ジミー(ts)、MJQのパーシー(b)、アルバート(ds))、ブレッカー兄弟(ランディ(tp)、マイケル(ts))、アダレィ兄弟(キャノンボール(as)、ナット(tp))等々。

バド・パウエル(p)の弟リッチーも優れたピアニストであった。
彼の場合ちょっと気の毒だと思う。
1956年6月26日のこと、妻ナンシーの運転で次の公演先シカゴへと彼らは向かっていた。
夜の高速は雨で視界が悪く、路面は滑りやすかった。
長距離運転に疲れ集中力が低下したナンシーが運転を誤り、同乗者3名全員が死亡した。
もう一人の同乗者がクリフォード・ブラウンである。
ブラウニーの死は多くの人に惜しまれ、追悼曲を送る人もあった。
だが、リッチー・パウエルに関する類似の話を聞かない。
そりゃあリッチーの家族友人らも悲しんだことだろう。
しかし不謹慎ながら、ブラウニーのケースとは桁が違う気がする。
死後に誰がどれだけ嘆こうが、誰が何を捧げようが、死んだ当人には全然関係ない、そう言ってしまえばその通りなんだが。

以前寺島靖国さんの「トランペッター不良論」を取り上げたことがある。
イナセなトランペッターが、金も女も歓声も全部持っていくというものだ。
マイルス・デイビス、リー・モーガン、チェット・ベイカーあたりがこのタイプだろう。
ところが逆に真面目で温厚な学級委員タイプのトランペッターがいる。
演奏はともかく人柄的にブラウニーはこちらに分類される。
ブッカー・リトルも本質的にはこちらだ。
そして本作のサド・ジョーンズもそうだと思う。
端正で理性的な演奏を残した。
晩年、カウント・ベイシー亡き後ベイシー楽団のバンマスを立派に勤め上げた。
そんなところに彼の人柄をうかがわせる。
協調性があり、いつも穏やかだった。
それ故かリーダー作はそんなに多くない。
だから一作一作を大切に聴きたい。
ハードバップ期にあって珍しく、ゴリゴリ力ずくで迫って来ない本作に、今日はホッと心癒される思いだ。







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