(205) ジャズか それともテロか

sahib shihab
No.205 2014.10.3



<ジャズか それともテロか>




有史以来いつの世も、国際問題のタネは常に尽きなかった。
国があり人があれば、それは今後も変わらず続いていく。
今日最も懸念されている国際問題は、エボラ出血熱とイスラム国だろう。
今のところ両方とも、我が国とは直接関係がないように見えなくもない。
だが、あっと言う間に目前の危機と化す可能性はある。

一見嫌なのはエボラの方か。
だがより危険なのがイスラム国ではないだろうか。
今後アメリカを中心とした多国籍軍との本格的な戦闘に発展した場合、どちらが勝つのかそれは、やる前から誰が見ても明らかだ。
アメリカが敗れた相手は今までのところベトナムしかいない。
それはベトナムにジャングルがあったからだった。
中東にジャングルはない。
隠れる場所とてない砂漠で、極短期間のうちにアメリカはイスラム国を制圧するだろう。
だが、本当の意味で彼らのジハードは、寧ろそこから始まるのではないのか。
たとえ戦闘に勝利しても、アメリカは彼らを皆殺しに出来る訳ではない。
次に始まるのは何か。
テロだ。
日本が調子に乗って「集団的自衛権」を行使などすれば、彼らは日本をテロの標的とすることに躊躇わないだろう。
そして我が国はそのテロに対して極めて脆弱だと私は思う。
目標となるものならほぼ無数にあり、その多くが殆ど丸腰と言って良い状況下にある。

イスラム国の勢力は2万とも3万とも言われるが、そのうちに1000人以上の欧米人が含まれ、アメリカ人すらが100人単位で参加しているという。
どこにでも不満分子はいる。
その不満も様々だろう。
だが、最大のものが何であるのか、私は想像がつく。
それは人種差別である。
マイルス・デイビスは白人嫌いを広言して憚らなかった。
それは実際白人にひどい目にあわされたからだ。
ステージのあい間に外で休憩中、白人警官に警棒で殴打された事すらあった。
バド・パウエルがおかしくなったのも、同様の事件がきっかけになったと言われている。
マイルスは生涯白人を許さず、アメリカにあって戦い続けた。
だが、そんな人種差別に嫌気がさして、アメリカを捨てた者も無論いた。

エドモンド・グレゴリーは22才で渡欧してデンマークに居を構え、イスラム教に改宗し名前まで変えた。
それが本作の全てを作編曲し、指揮をとったサヒブ・シハブその人である。
彼は音楽家であったために、アラブゲリラにはならずに済んだが、こういう人たちが今ならイスラム国の戦闘員となるのではないだろうか。
音楽は人を破滅の淵から救う(かも)。

本作は1965年にコペンハーゲンで録音され、「OKTAV」というマイナーレーベルから出された「超」が付く幻盤であった。
近年この版権を大阪の澤野商会が入手、再発された。
まぼろし盤も数多あるが、単に流通量が少ないだけというものも中にはあり、聴いてガッカリする事も少なくない。
だがこれは違う。
正真正銘の名盤、これを聴かずして何とすると断言出来る名盤である。
ジャズが好きでも嫌いでも関係ない。
とにかく黙って一曲目の「Di-Da」を聴いてもらいたい。
可能な限り良い装置を使い、出来るだけの大音量で。
それで感じるところがないのなら、あとはもう聴かなくて結構だ。
あなたと私は友だちにはなれない。
絶対そんなことにはならないと思うけれど。

ところで本作が録音された8月のコペンハーゲン。
ジャケットの写真は録音風景を写したものだ。
仮にエアコンが効いているとしても、デンマークってところ夏でも相当涼しいようだ。














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