(190) おもいでの夏 おもいでの発掘

summer1.jpg
NO.190 2014.9.16



<おもいでの夏 おもいでの発掘>




EW(イーストウィンド)は、88レコードの伊藤八十八氏らにより70年代に運営されていた日本のジャズレーベルだ。
録音が良く、光沢のあるジャケットの質感が好きだった。
アートファーマーの本作は、EWが1976年ニューヨークで録音している。
発売当時買いそびれ、20年以上も経過してから散々探したものだ。
実際のところは、買いそびれたと言うよりスルーしたのであった。
それはなんだかあまりにも軟弱な気がしたからだ。
タイトル曲「おもいでの夏(THE SUMMER KNOWS)」は同名映画のために、ミシェル・ルグランが作った曲だ。

おもいでの夏、それは年上の女性との避暑地の淡い恋の残像。
夏が終わり少年は手紙を書く。
撮った写真を送るからと聞いてた住所へ。
だが宛先不明で戻ってくる手紙。
あれは本当にあった出来事?
少年はわからなくなってくる。
白昼夢?
真実はあの夏の日だけが知っている・・・
とかの(クソ映画の)想像をした結果、どうも購入にいたらなかったようだ。
私はこの映画を観ていないため、TRUE STORYは知らないけれど、まあきっとそんなところだろう。
違ったらゴメン。

しかし後日、どこかで本作を聴き悔いた。
シダー・ウォルトンのピアノで始まるイントロ。
・・・美しいではないか。
そしてアート・ファーマーが奏でるフリューゲルホンによるテーマ。
せ、切なすぎる・・・
既にいい年になっており、美しいものは率直に美しいと認めて私は憚らなくなっていた。
よし、このレコードを買おう。
ときは既に、とっくにCD時代となっており、レコードを探すなら中古屋を漁ることになる。
ないのである。
ないとなったら本当にどこにもない。
そういう時は棚上げするのが一番だ。
ないものは仕方がないではないか。

数年後、エサ箱(レコードの陳列棚)から本作を引き当てた。
もう半ば忘れかけていた頃だった。
この時のドッキリ感を上手く説明するのは難しい。
初恋の人にばったり街で遭遇、ありきたりで陳腐だが、そんなに外れてもいない。
手にした本作は状態もたいへん良かった。
レコードを随分買ったが、本作を探し当てたこの日の事は忘れられない。
ところがその後なんと、何度も見つけてしまうのである。
探しに探して見つけた後は二度と出てこなくてよろしい。
頼むから出てこないで。
発掘するのは探している他の盤にしたいのだ私は。
だが、同じのが出てくる。
人生ってのはたいていそんなものだ。

尚、A面3曲目の「アルフィー」であるが、
先日紹介したソニー・ロリンズの曲とは同名異曲(バート・バカラック作)である。
A面2曲目には大好きな「黒いオルフェ(カーニバルの朝)」も収録された。








スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Re: No title

詩伝さん、いつか機会をつくって話をしましょう。
この世に生きている間に。
酒は大丈夫ですか?
私はアル中ですが(笑)

No title

これも懐かしい曲ですね。
昔、映画音楽ファンでフランス映画は名画座(3本立ての祇園会館)で片っ端から見まくってた時期がありました。
「おもいでの夏」もたぶん見たと思いますがマイブームも(見過ぎで)末期の頃だったので筋はもうほとんど記憶に残っていません。
ただ、このセンスの良い音楽がずっと耳に残ってはいました。
ミッシェル・ルグランは、当時よく聴いてたフランシス・レイやバート・バカラック、ヘンリー・マンシーニ、ニーノ・ロータ等とは一線を画す存在と思っていました。
そのワリにはさほどたくさん聴いた覚えもない(他にはシェルブールの雨傘や風の囁き、女と男のいる舗道、ロシュフォールの恋人たち、レ・ミゼラブル くらいなもので)矛盾した当時からの評価なのですが、うん。これはお洒落に洗練された良い曲ですね。
プロフィール

バロン ド バップ

Author:バロン ド バップ
音楽がある限り

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
最新コメント
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
"Count" Basie