(186) プレッシャーに負けない

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NO.186 2014.9.9



<プレッシャーに負けない>




スコアのみをリアルタイムで伝える地上波の番組で、錦織圭の敗戦を知らされた。
3-6、3-6、3-6というストレートの完敗であった。
全身の力を奪われた気がする一方、どこかで「やっぱりな」という声が聞こえた。

午後、NHKが急遽この試合を放送するという。
私はこれを事務所の小さなテレビで観た。
錦織は入場の時からの硬い表情のまま試合に入り、ほぼ自滅と言っていい形でファーストセットを失っていた。
相手のチリッチというクロアチアの大男は、デカいという事以外特別どうということもない平凡な選手だ。
たいしたヤツじゃない。

テンパった錦織と凡庸な大男、だからセカンドセットはグランドスラム決勝とはとても思えないグダグダな展開となっていった。
錦織は大事なところで自分を信じることが出来なかっただろう。
いったい何が起きているのか。
それすら理解できないまま、ズルズルとポイントだけが進行していた。
少しずつ自分に不利な形で。

なすところなく第三セットも失い錦織は敗退した。
立派なのはその後のスピーチだけであった。

今年の四大大会はこれで終わり。
錦織の挑戦も来年に持ち越された。
ここまで出来たのだ。来年に期待する。
そういう気持ちは当然ある。
だが不安要素もある。
年齢だ。
錦織は現在24歳。
普通ならまだまだ若い。
だが、テニスの世界はまた事情が異なる。
それはジョン・マッケンローを見ればわかる。
マッケンローと錦織は殆ど体格に差がない。
マッケンローもまた「小柄」な選手だったのだ。
そして錦織以上に、類まれなセンスのみを頼りに世界ナンバーワンとなった男だ。
そんなマッケンローが最後にグランドスラム大会で優勝したのが25歳だった。
その後の彼は急激に力を落とし、引退への坂を転がり落ちていった。

マッケンローや錦織程度の体格で世界のトップに上り詰めようとする時、彼らにはセンス以外頼りにできるものなど何もありはしない。
センスとは魔法である。
小柄な選手が魔法を武器に、大男を手玉に取る様を見るのは小気味良い。
だがこのセンスというやつ、実は賞味期間が短いのだ。
馬鹿力は案外長持ちする。
だから優勝したチリッチは30歳くらいまでいける可能性がある。
だが錦織は無理だ。
動体視力、瞬発力、反射神経、そうしたものの加齢変化で、彼の鮮やかなテニスセンスに錆びが来る日はそう遠い話ではない。
錦織圭にはもうあまり時間がない。
だから彼を英雄扱いして、感動をありがとう的なチヤホヤは一切やめるべきだ。
錦織圭はまだ、何事も成し得ていない。
グランドスラム制覇を願うなら、彼をほっといて欲しい。
多分ムリだと思うけど。


アート・ペッパーは小柄で天才肌のアルト吹きだった。
麻薬で合計15年もムショに居た。
本作が録音された1957年も何度目かの出獄直後だったが、録音当日はヤクでヘロヘロだったという。
それはこの時のメンバーに相当ビビり、やらずにいられなかったとの説もある。
ミーツ・ザ・リズムセクションのザ・リズムセクションとは、マイルスクインテットのリズムセクション、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)である。
マイルスバンドが西海岸へツアーに来たので、ついでに録音、という感じだろう。
それにしてもザ・リズムセクションと断言するのだから凄い。
ボブ・ディランのバックバンドをしていたロビー・ロバートソン、レボン・ヘルム、リック・ダンコらが、後年ザ・バンドを名乗ったのとは比較にならない威圧感がある。
アート・ペッパーがビビってヤクをキメたのも無理はなかった。
ヤクの力ゆえなのかどうか不明だがペッパー、プレッシャーを跳ね返しバッチリ仕事した。
彼の代表作とも言える「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」これ一曲のために本作はある。
機会があれば、ヘレン・メリル盤とも聴き比べたい。














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