(123) 涙なくして語れぬ愛もある

ダスコ
NO.123 2014.1.24



<涙なくして語れぬ愛もある>





ヨーロッパの火薬庫と言われたバルカン半島。
なかでもセルビアに鳴り響いた一発の銃声によって、第一次世界大戦が始まった。
オーストリア皇太子の暗殺である。
時は過ぎ、冷戦後の凄惨な内戦の末、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロなどに分裂した旧ユーゴスラビア。
ダスコ・ゴイコビッチの音楽から、出身地のそんな背景を読み取る事が出来るだろうか。
見てはならないものを目にし、なくしてはいけないものを失い、失ってはならない人と別れた後、人は美しい旋律以外の言葉を忘れるのかもしれない。
行ったことはない。そして多分一生行くことのない地、バルカン半島。
あまりにも遠く、私のこの小さな人生からかけ離れた世界だ。
だが、幸いにしてダスコ・ゴイコビッチのトランペットを私は聴くことが出来た。
そう、私にはいつも聴くことしか出来ない。
そしていつかその涙がかわき、いつの日か涙なしに愛を語れるようにと祈ることしかできない。











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