(118) たけしとブルーノート

たけ2
NO.118 2013.10.8



<たけしとブルーノート>





北野武のジャズシリーズ第2弾が出た。
前作『たけしとジャズ』は四万枚売れたそうだ。
これはジャズのレコードとしては驚異的な数字である。
ちょっとした音楽好きなら皆どこかで聴いたことがあり、
更にジャズファンであればほとんどの収録音源を手元に置いているであろう、というようなCDをわざわざ購入にまで至らしめたのは「ビートたけし」というブランド故だ。
同じコンピレーションでも、本ノートで毎年とりあげている『寺島靖国プレゼンツ、JAZZ BARシリーズ』なんかは恐らく、十分の一程度の売上ではないかと想像している。
『JAZZ BAR』を買う数千人の人達はそして、今も熱心にジャズを聴き続けているコアなファンだろう。
『たけしとジャズ』を買った四万人のうち、どれくらいのジャズファンが含まれているものかはわからない。
多分、多くはないだろう、とこれも想像だが、仮にそうだとすれば四万人に限りなく近いジャズファンではない人達が『たけしとジャズ』をきっかけにしてジャズファンになっていくのであれば、それはそれで結構なことだと思う。

実は私も個人的なブルーノートのコンピレーションを制作している。
CD三部作で三十数曲になるが、このうち『たけしとブルーノート』とカブッたのは「スィートラブ・オブ・マイン/ジャッキー・マクリーン」たった一曲だけだった。
そして『たけしとブルーノート』には、私が聴いたことのない音源が含まれる。
就中、青山テルマという未知の女性歌手が歌う、ビートたけし作の「浅草キッド・英語バージョン」がボーナストラックで付いている。
私はこのCDを買ったのである。
驚いたことに本作は、ブルーノートレーベルで出された「ブルーノートのレコード」だった。
音源のほとんどがブルーノートである。
考えてみればおかしな話でもないのだ。
だが、私はどうしても「こんな事が許されるものだろうか」との思いを拭いきれない。
それはノラ・ジョーンズのCDが、ブルーノートから出た時の違和感とそんなに違わない。
なんか違うんじゃないか?と私はどうしても言いたい。

このCDを買うかもしれない数万人の人達は、『たけしとブルーノート』をきっかけにブルーノートのファンになっていくだろうか。
ブルーノートの熱心なファンになれば、このCDには取り上げられずに埋れた聴いて大ハッピーになる曲がたくさん待っているのだ。ブルーノートはハード・バップの楽園である。それらを聴かずに死んで欲しくない。
アンドリュー・ヒル、セシル・テイラー、サム・リバース、これらはブルーノートを代表する重要ミュージシャンではけしてないのだ。
また、ノラ・ジョーンズ、カサンドラ・ウィルソンなどのボーカル物もブルーノートの看板では断固ないのだ。

私はむしろこのCDが、将来中古屋に大量に出回るのではないかと危惧する。
数万人の未来ある音楽ファンの、ブルーノートとの不幸な出会いになりはしないかと。










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番外編 ⑮

sg1967.jpg



<番外編 ⑮>





サイモン&ガーファンクル1967年のライブ音源が輸入盤で存在した。
国内盤では出ていない。
彼らの最大のヒット作品は後にも先にも「明日にかける橋」であり、それ以前には「サウンド・オブ・サイレンス」等の小山があるものの、全体としてはありがちなフォークデュオに過ぎなかった。そう言えなくもない。
近年になって1969年のライブが国内盤で出されたのは、その音源に当時ほとんど知る人もなかった「明日にかける橋」が含まれるからだ。
これがあるとないとでは、全体の重量感が全然違ってしまうのは事実である。
本作には当然含まれない。
そのかわり、というのも何だが、多くの初期作品を聴く事ができる。
私はそれらをほとんど知らず、何か彼らの新譜を聴くようで、大変徳をした気分である。

本作がAmazonから送られてきた今日、たまたま息子と娘が帰省していた。
それは息子の25回目の誕生日を皆で祝う為だった。
彼は目下小学校の教員になるべく日々を送っていて、うまくいけば今月中にもそれがかなうかもしれない状況にある。
つまり、うまくいかない時もある、という事でもあるのだが、たとえうまくいかなくてもいいではないか。
そんな風に思えてもきた。

私が25歳の誕生日を迎えたのは場末の酒場だった。
全ての事が混沌としていた。
私はなす術もないままに日々を暮らしていた。
「トゥエニーファイブ!」
安酒をあおってはそう叫んでいた。
そして先の事はちっとも考えていなかった。
「トゥエニーファイブ!」
あれから倍以上の時が過ぎた今、私はこうしてなんとか生きている。

彼らのこれからの人生に責任を持つ事はもうできない。
けれども、幸せに暮らして欲しいとそれだけを精いっぱい祈ってやまない。

誕生日おめでとう!










(119) ハードバップの暴風域

クリフ
NO.119 2013.10.25



<ハードバップの暴風域>





ブルーノート1565番である。
セッションリーダーのクリフ・ジョーダンをそのままアルバムタイトルとした本作は、間違いなくハードバップの暴風圏に入った。
ただし、それは一番外側であり、ハードバップを代表する一枚とは言い辛いのであるが、クリフ・ジョーダンのオリジナル「Not Guilty」やカーティス・フラーの「Blue Shoes」などが入った趣味の良い本作が私は大変好きだ。
あのリー・モーガンが入ることで、アルバムを乗っ取ってしまうかと思われたが、まだ小僧だった本作でのリー、あまりゴリ押しはして来ず好感が持てる。
ピアノのレイ・ブライアントの参加も貴重だ。
もっともこの頃のブルーノート作品には、トミー・フラナガン入りのものまである。
ジャケットデザインでも分かるように、1500番台中盤のブルーノートはまだまだ固まっていなかった。
そのことが作風をも決定付けているように思う。


いよいよ秋も深まって来た。
毎年春と秋には母親と弟、それに私の三人で温泉小旅行に出かけている。
年二回のことであるから、次第にネタも尽きて来るが、母親の足腰が大丈夫なうちは続けていきたい。

 
鰊

今回は小樽の「銀鱗荘」である。
1873年(明治6年)余市に建てられた所謂鰊御殿の一つで、当時はこうしたものが各地にあったようだ。
1938年(昭和13年)に現在の場所に移築され、温泉旅館として利用されている。


鰊2

充実したパウダールームに続いて、結構なサイズの内風呂がある。
もちろん大浴場もあるが、部屋の風呂で充分だ。


鰊3

銀鱗荘の宿泊料金は高額だ。
はっきり言ってコスパは良くない。
部屋の眺望代が一人1万円以上であれば、なんとかぎりぎり計算が合うかもしれない。
だが、母はたいそう喜んでくれた。
良かった。



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