(109) 鳴らないギター

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NO.109 2013.4.15



<鳴らないギター>





友人がCDプレーヤーを買い換えるらしい。
我が家に例のスピーカーを導入したA店のS氏が、友人宅に試聴機を「聴いてみてくれ」と持ち込んだのだ。
するとすぐに友人から「もう元には戻れない」とメールが来た。
どれどれ吾輩にも聴かせなさい、という訳でワインとCD持参で昨夜訪問したのである。
新CDプレーヤーはESOTERICのK-01という機種だ。
友人はこれまで同社のX-01を愛用していたので、まあ正常進化という感じだろう。
一生バツイチという訳にもいかない。

久しぶりに友人宅のJBL4348を聴いた。
彼は専用の部屋を持っている。
天井が高く床は巌の如く頑丈であり、どんな大音量にもびくともしない。
また、壁は石井式という特殊な構造で、一言で言えば大変響きが美しく、且つ制御されている。
これらが効いて前々から良い音がしていたのだが、我が家の音も努力の甲斐あってこのところ好調だから、今回の試聴が私は楽しみだったのだ。
まずは友人推薦の「サヒブ・シハブ・ジャズパーティ」を聴く。
うーむ、良い音はしているが、私はこの盤を持っていないので彼我の比較はできない。
次にかけたのが本作7曲目の「The Stumble」である。
これが凄まじく良かった。
我が家では聴いたことのない種類の音だった。
ギターの音色が生々しく、まさに目の前で鳴っているようだ。
そして更にはこんな音入っていたのか?という重低音が鳴り響き、身体を揺さぶるではないか。
一体何なんだ、これは。
焦った私は帰宅後、自分の装置で「The Stumble」をかけてみた。
いつもはけして出さない位の大音量で。

どうして君はこんなに濁っているんだ。
どうしてこんなに緩いんだ。
とにかくギターが鳴らないのである。
あの部屋のようには。
そう、音色がまるで違う。

夜更けに一人涙した・・・










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(110) What Are You Doing The Rest Of Your Life?

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NO.110 2013.4.22




<What Are You Doing The Rest Of Your Life?>






ある知人女性が50そこそこで亡くなったみたいだ。
知人と言っても20年も前に何度かテニスでご一緒した事がある程度の知人で、最近になって某オーディオマニアの結婚式でばったりお会いしたら、彼女も結婚したばかりとの話だった。
老後にお互い一人は寂しいね、という共通認識のもとに結婚したのだという。
しかし、そんな彼女に老後はなかったわけだ。

改めて言うまでもなく、全ての生物は誕生した瞬間からカウントダウンが始まる。
だが、その数字は誰にもわからない。
わからないまま歩く薄暗がりの足もとには地雷原が続いている。
歳がいくほど地雷の密度は増すばかりだ。
だから実際私にも老後というものがあるのかどうか。

残りの人生をどう過ごす?
これは難しい問いだが、私は多分今まで通りに過ごすだろう。
今まで聴いてきたように音楽を聴き、
今まで飲んできたようにワインを飲み、
今まで語ってきたように人と語るだろう。
テニスはいつまで出来るかわからないが、出来る間はやるつもりだ。
そんなところであとは特段大きな悔いもない。

亡くなった彼女の人生がどうだったのか、それはさっぱりわからないが、多少なりともテニスが彼女に幸せをもたらした事を望みたい。
遠い日の街角ですれ違っただけの関係、そんな彼女だが、ご冥福を祈り、彼女と彼女が心を残した夫君に敢えてこの曲を贈る。

HELGE LIENのピアノを聴いてください。
人生これで良いのだ、と言う以外に今私は術を知らない。











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Author:バロン ド バップ
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