番外編 ⑧

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<番外編 ⑧>





年が明けた。
と思ったら続け様に風邪をひき、現在インフルエンザで隔離中だ。
どうも免疫力が低下している。
タミフルは良く効き、効いている間は案外元気で退屈する。
退屈凌ぎのネットショッピングでこんなモノを。

CDである。
しかし、音楽は聞こえて来ない。
聞こえて来るのはノイズだ。
遠くで小川のせせらぎが聞こえる気もするが、
収録時間約30分を通して一本調子のノイズがあるのみ。
ノイズのみの内容に30分付き合うのは大変につらいが、これ、オーディオのエージング用なのだという。
オーディオにはエージングが必要とされている。
それはスピーカーのみではなく、アンプやCDプレーヤー、あまつさえケーブルの類にすらエージングである。

わからないではない。
おろし立てのスピーカーはどんどん音が変化してゆく。
問題は時間だ。
それなりの音になるまで、一説では家庭の常識的な音量では20年。
それはダメだろう、オーディオマニアは一般的に高齢だ。
それではとても間に合わない。
それがこのCDを鳴らす事で、かつ短時間(およそ10時間)で可能なのだとか。
定価10,080円。
高いか安いか?

もちろんそれは効果次第だけれど。










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(103) AGINGという事

キスインザボトム
NO.103 2013.1.20



<AGINGという事>





あって当然だった一枚。
ポールが歌うスタンダード集。
ダイアナ・クラールがピアノで、エリック・クラプトンとジョン・ピザレリがギターで参加し、トミー・リピューマがプロデュースした。

できればロッド・スチュワートのように普通に歌ってほしかった。
そのようにやっている曲も実はある。
だが、多くのトラックでポールは口先だけの変な歌い方をした。
一度聴き通したときには、これが現在のポールなのかと思った。
そしてなんだか変に年寄り臭く聞こえた。
ブラインドで聴けば、誰だかわからないような歌声。
気を取り直し二度目に聴いたときに、それが故意になされたものだと気付いた。
よせば良かったものを。
マット・デニスやジミー・スコットばりに枯れた感じでやりたかったのか、ポール。

ポールは年相応の枯れた味を出そうとして出せなかった。
それはそうだろう。
何故なら彼はまだ枯れてなどいないからだ。
いつまでも若くありたいと、そのためにきっとポールは散々努力した筈だ。
ある意味努力が報われもした。
しかし今回だけはアンチエージングの努力が裏目に出た形だ。
隠し切れない年寄り臭さだけが声に滲み出た。
上手に年を取るのも楽ではない。
そして人間、都合の良い「いいとこ取り」はなかなかうまくはいかないらしい。
結局私はスタンダードではなく、ポールの自作曲「マイ・バレンタイン」が一番気に入った。

前回お話ししたエージングCDが素晴らしく効いたのでご報告。
我が家ではピアノの音が妙に詰まったような不自然な鳴り方をしていたのだが、それが嘘のように良く鳴りだした。
メーカー推奨の10時間使用を終えたが、当然こうなると欲が出てくる。
20時間鳴らしたらもっと凄いことになりやしないか、と。
これは悩ましいことになったものだ。
こちらもやはり程ほどに、ということかな。











番外編 ⑨

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<番外編 ⑨>





夜中にランダムで曲をかけていたら、「明日に架ける橋」が流れてきた。
最初に買ったLPレコードは森山良子かこれだった。
どちらが先か忘れたが、残念ながら森山良子は既に手元にない。

中学3年の同級生がシングル盤を買い、素晴らしいと教えてくれた。
私は清水買いでLPを手に入れ少し誇らしく思ったが、「サウンド・オブ・サイレンス」が入っていないのを知り非常に落胆した。
CBSソニーの国内盤にはシールドがかかっていて、試聴ができなかったのだ。
だからと言って大枚はたいて購入したLPレコードを放置するわけがなく、私はまさに擦り切れるほど繰り返しこの盤を聴いた。
高校進学が決まった後の、最後の春休みの頃だった。
私は朝からこの曲をかけ、傍で母が洗濯をしていた。
息子を見る母の眼差しが、柔らかな春の陽を受けて穏やかに微笑んでいた気がする。

四月になり、同級生と私は一緒に、地元では結構有名な進学校に進んだ。
有名進学校であるはずのその高校は、学園紛争で機動隊が入り、その後大変なことになっていた。
授業中に教室の後ろから侵入してきた上級生が、黒板に向かって生卵を投げつけた。
隣のクラスには火のついたバルサンが投げ込まれた。
トイレではいつも誰かがタバコを吸っていた。
校内のどこにも、学び舎という雰囲気など一切なかった。
しかし、時期が来ると彼らの多くは、いつの間に勉強したのか有名大学へ進学していくのだった。
セクトに入り、「君も入ってくれたらやらしてあげる」と言って同級生をオルグしまくった挙句、自殺未遂事件を起こして学校をやめた女生徒もいたが、一方で過激派のリーダーだったある男は、退学処分をモノともせず大検を経て京都大学に入り伝説となった。

例の同級生は、その後どこかの家電メーカーに就職したのち、私も記憶にある中学の別の(当然だが)同級生と結婚したという。
思いのほか旧友との繋がりを大切にする男だった訳だ。
それからの消息は知らない。
リストラになど遭遇していなければ良いのだが。

あの頃、人生は無限の可能性を秘めているかに思われた。
別に根拠があったわけでは無論ない。
ただなんとなくだ。
怖いもの知らず、とは良く言ったもので、それは知らぬが仏とたいして意味は違わない。
人生にかけられた橋がどれほど脆弱なものであろうとも、過去にそれを渡った経験がない以上知る由もなかった。
今から振り返れば冷汗の連続だった難所の数々を、だからその時は気付きもせずに通過してきた。
やっとここまで来た。
残りわずかとなった道程もなんとか無事に渡りきる事ができますようにと、そんな時ばかりは亡き父に手を合わせたりしてみる。

あの頃と違って多少の知恵がついた現在は、先に横たわる橋が必ずしも安全とは限らない事が私にも当然理解できる。
この橋が明日への架け橋とは限らない。
しかし、だからと言って残された選択肢は極めて限られており、最早私にはこの橋を渡るしか道がない。
そして橋を渡り切った時に尚命があるのなら、更にその先の地雷原を息を止めて駆け抜けるよりないのだ。
イチかバチか、全速力で。

嘘だと思うかもしれないが、書き終えた時に「LET IT BE」が・・・・
現実というヤツは時々、さらりとドラマチックだ。











番外編 ⑩

ノイズハーベスター




<番外編 ⑩>





「PS AUDIO ノイズハーベスター」である。
空きコンセントに挿すだけで、電源に混入したノイズを光エレルギーに変換し除去するという。
半信半疑で戯れに購入してみた。
定価14,800円。実勢価格は本国(アメリカ)での定価96$に近い。
「PS AUDIO」自体はレッキとしたオーディオメーカーであり、「パワーポート」というオーディオ用の壁コンセントが有名で、私も四個愛用中だ。
ジャズ向きなゴツい、太い音がするが、一個1万円(普通のコンセントは数百円)くらいの金額なものだから、オーディオマニア以外の人が聞くと「バカじゃないのか」という顔を普通にする代物だ。
だが私は「PS AUDIO」に疑いの眼差しを向けた事はない。
ではどこが半信半疑なのかと言うと、電源のノイズを除去しきるにはやや物的にチャッチー感じで、はたして効果を感じることが出来るか?という点で半信半疑だったのであって、詐欺商品などとは金輪際、微塵も思っていない。
元より電源の大切さを、私は身に染みるほど理解しているつもりだ。
一般家庭の電源は相当きたないのである。
特に冷蔵庫、電子レンジ、パソコン、インバーター照明あたりがかなりのノイズを発生する。
テレビもひどいと言う話だ。
その辺を改善すれば、音は劇的に良くなるのだ。
しかし我が家ではオーディオ専用電源工事やら、ノイズカットトランス導入やらを既にやっていて、その上さらにコイツがどのくらい効くのかという点にのみ、一抹の不安があった。

届いた実物は片側にコンセントに差すプラグと、反対側に青いLEDがついた石鹸ほどの大きさの箱である。
極めてシンプルで且つ軽く、コンセントに挿す以外にユーザーがやるべき事など何もない。
とりあえず、オーディオ専用コンセントの高音用アンプを挿しているパワーポート(二口で一口空き)に挿して様子をみたが、青いLEDが点滅する兆しはなかった。
それではと、パソコンを繋いでいる一般用コンセントに挿してみる。
変化なし。
我が家の電源はそんなにきれいだったのか?
それともノイズハーベスターが不良品か?
ふと見ればパソコンの電源がoffになっている。
速攻on。
ワオ!光る光る!喜んでいる場合ではないのだが、青いLEDがパッパカパッパカ盛大に光りだした。
やはりな。やはり電源にノイズが混入しているのだ。
今度はパソコンを消した状態で最前のパワーポートに挿し、テレビをつけてみる。
今度は派手に光りだした。
これはいかん。今までこれを放置していたのだ。
なんという事か。オーディオマニアの風上にも置けないではないか。
私は自分の不明を叱った。

ひとしきり反省したがさて、問題はノイズハーベスターの装着による音の変化を判別できるか、という点である。
率直に言ってわからない。
私は愕然とした。
そんな筈はないのだ。
これはどうした事か・・・
色々調べた結果、この製品は複数設置で一層効果が増すようだ。
なるほどな、ありがちな話である。
複数設置という甘美なフレーズが頭の中をぐるぐる周った。
私には複数設置による目の覚めるような音の変化が、もちろん既に聞こえていた。
パソコン用のコンセントには必須であろう。
そしてオーディオ周辺を数えると三か所の空きコンセントがある。
毒食らわば皿までと言うではないか。
私は迷わず三個の追加発注を決めていた。











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Author:バロン ド バップ
音楽がある限り

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